ローカル線の旅 東武佐野線

更新日時 2010年05月05日

 東武佐野線(さのせん)は、群馬県館林市の館林駅と栃木県佐野市の葛生駅を結ぶ東武鉄道の鉄道路線である。2005年2月に佐野市・田沼町・葛生町が合併して佐野市となったため、群馬県内は館林市内、栃木県内は佐野市内と、それぞれ1県1市を走っている。佐野線の前身は、1888年に設立され、1890年までに葛生 - 越名間が開業した安蘇馬車鉄道である。江戸時代から葛生で産出される石灰石を運ぶための馬車鉄道で、越名まで運ばれた石灰石や木材などは、船に積み替えられて渡良瀬川から利根川を下って東京方面に運ばれていた。やがて、輸送力の限界から社名を佐野鉄道に改めて、1894年に蒸気機関車による鉄道に変更した。1912年に佐野鉄道は東武鉄道に吸収合併された。この頃東武鉄道では日光進出の計画を立てており、当初は館林から佐野、葛生、鹿沼を経由して日光まで結ぶ構想であったため、ルートの重なる佐野鉄道を合併したのである(後に日光へは栃木経由に変更)。東武鉄道は佐野鉄道が持っていた鉄道敷設免許を利用して館林 - 佐野間を建設、1914年に開業し、館林 - 葛生間直通運転を開始した。
路線データ 路線距離(営業キロ):22.1km  軌間:1067mm  駅数:10駅(起終点駅含む)
複線区間:なし(全線単線)  電化区間:全線電化(直流1500V)  閉塞方式:自動閉塞式
東武鉄道東武鉄道 佐野線
館林駅 - 渡瀬駅 - (北館林荷扱所) - 田島駅 - 佐野市駅 - 佐野駅 - 堀米駅 - 吉水駅 - 田沼駅 - 多田駅 - 葛生駅
 館林駅(たてばやしえき)は、群馬県館林市本町二丁目にある東武鉄道の駅である。館林駅構造は島式ホーム2面5線を有する地上駅。駅構内の改修により橋上駅舎、東西自由通路、エレベーター、多機能トイレが整備された。当初の完成予定は2009年(平成21年)3月であったが、同年12月4日に供用を開始した。1・4番線の入口に「ご案内カウンター」と称する案内所兼中間改札が設置されている。橋上駅舎供用開始までは4・5番線の北にある跨線橋を上がった場所に西口改札があった。1番線は4両編成対応、2・5番線は10両編成対応、3番線は8両編成対応、4番線は2両編成対応になっている。1番線は行き止まり式、4番線は切り欠き式ホームである。5番線東方には留置線があるが、2007年(平成19年)11月頃から5番線寄りの2本を残して撤去作業が行われている。かつては日清製粉への麦芽輸送が行われていたが、工場の縮小およびトラック輸送への切り替えに伴い廃止された。撤去直前までは運用を離脱した5000系・5050系・5070系や1800系が疎開留置されていた。
館林駅を過ぎて、東武佐野線はこの辺から別れて行く。佐第1号踏切道より撮影。
館林駅 - 渡瀬駅間。佐第4号踏切道より撮影。
館林駅 - 渡瀬駅間。佐第11号踏切道より撮影。
渡瀬駅(わたらせえき)は、群馬県館林市足次町にある東武鉄道佐野線の駅。
 渡瀬駅構造は島式ホーム1面2線を有する地上駅である。駅舎は線路の北側に立地し、ホームとは地下道により連絡している。自動改札機は未設置。
 北館林荷扱所(きたたてばやしにあつかいしょ)は、群馬県館林市の東武鉄道佐野線渡瀬 - 田島間にあった貨物駅である。渡瀬駅の留置線扱いとなり、廃車車両および休車(保留)車両が留置されている。かつて、東武鉄道では廃車となった車両の解体は、東武動物公園駅隣接の杉戸工場北側にある杉戸倉庫(扱いは杉戸検車区)で行っていた。1987年から3000系列の廃車が始まったが、これらは1本の編成が4 - 6両と長く、杉戸では編成単位で収容できないため、解体作業場の移転が行われることになったが、解体場の移転先が決まるまでの数か月間、解体待ちの編成が東武動物公園駅構内に留置されていた。解体場の移転先として北館林荷扱所を使用することになり、1987年夏から北館林荷扱所での解体作業が始まった。当初、廃車車両は東武動物公園駅までは自力回送、同駅からは電気機関車牽引により回送されていた。1990年以降、廃車車両の機関車牽引回送は廃止となり、廃車車両は直接北館林荷扱所まで自力回送とされた。ただし、検査期限切れなどで単独走行が不能な場合は、他の車両に牽引されて回送される。北館林荷扱所では、3000系列の他、2000系・2080系、1700系・1720系、5700系などが解体された。2000年代に入ると、5000系列、8000系、1800系通勤化改造車・ED5060形・ED5080形も解体された。2005年初頭まで、当地では京王電鉄や小田急電鉄、その他地方私鉄で廃車となった車両も解体されていた。これらは車体のみが大型トラックで陸送されたため、二つに切断された車体が積み上げられた光景がしばしば見られた。しかし、これはアスベスト問題の関係で何らかの変更があった模様で、一時期は見ることができなくなっていたが、2007年5月上旬には、廃車となった東京地下鉄(東京メトロ)有楽町線用の7000系中間車が分割されて搬入され、解体された。東武鉄道の貨物輸送が終了し、渡瀬駅構内扱いとなってからは廃車解体の場所として存在しているような状況である。解体作業は杉戸時代から高田産業に委託されている。
 北館林荷扱所は、カルピス食品工業(現・カルピス)が当荷扱所付近の館林北部工業団地に新工場を建設することになり、製品輸送に対応するために新設した。一時期は、カルピスの他に正田卯平商店、東武運輸、両毛丸善の計4社の専用線があったが、1986年に両毛丸善以外の3社の専用線が廃止された。2003年9月限りで、最後まで残っていた両毛丸善の石油輸送終了に伴い東武の貨物輸送は廃止された。
渡良瀬川橋梁から佐野方面へ。
北館林荷扱所 - 田島駅間。佐第23号踏切道より撮影。
田島駅(たじまえき)は、栃木県佐野市田島町にある東武鉄道佐野線の駅。
 田島駅構造は島式ホーム1面2線を有する地上駅である。駅舎は線路の西側に立地し、ホームおよび線路の東側とは地下道により連絡している。駅舎は木造のものが長らく使用されていたが、ホームへ行くには駅舎を経由することなく直接地下道にアプローチする形態となっていたため、乗客の動線から外れていた。2009年に新しい簡易駅舎が地下道横に建設され、旧駅舎は解体された。PASMO対応簡易改札機が設置されている。乗車券はかつて駅前の食堂で発売していたが、簡易駅舎供用開始後は窓口で発売している。
ん~橋梁名が解らない(笑)川が秋山川の為、秋山川橋梁と名付けよう(笑)
田島駅 - 佐野市駅間。佐第28号踏切道より撮影。
 佐野市駅(さのしえき)は、栃木県佐野市上台町にある東武鉄道佐野線の駅である。特急「りょうもう」停車駅。東日本旅客鉄道(JR東日本)両毛線との乗換駅は隣の佐野駅であり、館林方面からの列車では、当駅ではなく佐野駅で乗り換える旨のアナウンスがある。
 佐野市駅構造は相対式ホーム2面3線の地上駅。中線は待避線であったが、貨物輸送が廃止されてからは使用されていない。駅舎は葛生方面ホーム側に立地し、館林方面ホームとは地下道により連絡している。駅スタンプを常備しており、利用時は改札口に申し出る。
JR両毛線とここで立体交差する。
佐野駅(さのえき)は、栃木県佐野市若松町にある、東日本旅客鉄道(JR東日本)・東武鉄道の駅である。
 佐野駅構造は橋上駅舎を有し、南北を連絡する自由通路が設置されている。北口にはエレベーター、南口にはエレベーターとエスカレーターが設置されている。改札口は両社で分離されている。JR側の改札口は自動改札機が設置されたが、東武側の改札口は有人通路のみであり、PASMO・Suica利用客用の簡易改札機が設置されている。東武の乗車券類には「入鋏省略」と印字され、入場時に改札を受ける必要がない。この形態は自動改札機導入前の東武の多くの有人駅でみられた。東武鉄道島式ホーム1面2線を有する地上駅である。特急「りょうもう」の停車駅。2009年6月6日のダイヤ改正で佐野市駅始発・終着列車1往復が当駅まで延長された。
佐野駅 - 堀米駅間。佐第42号踏切道より撮影。
佐野駅 - 堀米駅間。佐第43号踏切道より撮影。
佐野駅 - 堀米駅間。佐第45号踏切道より撮影。
堀米駅(ほりごめえき)は、栃木県佐野市堀米町にある東武鉄道佐野線の駅である。
 堀米駅構造は島式ホーム1面2線を有する地上駅である。佐野駅側の線路の東西に出入口があり、ホームとは地下道で連絡している。無人駅で自動改札機や自動券売機は設置されていない。PASMO・Suica利用客用として入場用1機、出場用2機のICカード簡易改札機と、乗車駅証明書発券機が設置されている。乗車券は簡易委託先の駅前ふとん店で発売している。ICカード用のチャージ機はない。
堀米駅 - 吉水駅間。佐第53号踏切道より撮影。
堀米駅 - 吉水駅間。佐第55号踏切道より撮影。
吉水駅(よしみずえき)は、栃木県佐野市新吉水町にある東武鉄道佐野線の駅。
 吉水駅構造は島式ホーム1面2線を有する地上駅で、佐野側の線路の東西に出入口があり、ホームとは跨線橋で連絡している。PASMO簡易改札機が設置されている。乗車券は2箇所の自転車預かり所で発売している。
吉水駅 - 田沼駅間。佐第59号踏切道より撮影。
吉水駅 - 田沼駅間。佐第64号踏切道より撮影。
吉水駅 - 田沼駅間。佐第67号踏切道より撮影。
田沼駅(たぬまえき)は、栃木県佐野市栃本町にある東武鉄道佐野線の駅。特急「りょうもう」の停車駅。
 田沼駅構造は島式ホーム1面2線を有する地上駅。駅舎は線路の西側にあり、ホームとは地下道により連絡している。
田沼駅 - 多田駅間。佐第70号踏切道より撮影。
田沼駅 - 多田駅間。佐第76号踏切道より撮影。
多田駅(ただえき)は、栃木県佐野市多田町にある東武鉄道佐野線の駅。
 多田駅構造は相対式ホーム2面2線を有する地上駅。次の葛生駅ホームは1線のみであることから、運行本数の多い朝夕の時間帯は当駅での列車交換が設定されている。上下線間が空いているのは、かつて盛んだった石灰石輸送の貨物列車用中線が設置されていたためである。2007年(平成19年)10月に新築された駅舎は館林方面ホーム側にあり、葛生方面ホームとは跨線橋により連絡している。新駅舎供用開始後に、従来の木造駅舎は解体された。葛生方面ホームには待合所がある。乗車券は駅前民家で発売している。
多田駅 - 葛生駅間。佐第86号踏切道より撮影。
多田駅 - 葛生駅間の国道293号線の跨線橋付近で撮影。
多田駅 - 葛生駅間の国道293号線の跨線橋より撮影。
多田駅 - 葛生駅間の秋山川を渡る東武佐野線。
 葛生駅(くずうえき)は、栃木県佐野市葛生東にある東武鉄道佐野線の駅。佐野線の終着駅で、特急「りょうもう」の終点でもある。有人駅。かつて、東武会沢線・東武大叶線・日鉄鉱業羽鶴専用鉄道の三つの貨物線が当駅まで石灰、セメント、ドロマイトを輸送していた。セメントは東武伊勢崎線経由で業平橋駅まで輸送された。貨物輸送が廃止された後はその設備のほとんどが撤去されているが構内は広く、かつての貨物線の名残をとどめている。当駅から先にも路線跡が続き、架線柱や腕木式信号機も残っている。貨物輸送の全盛期には駅員が80名在籍し構内には旅客用も含め20本の線路があり、東武鉄道で最大、日本でも屈指のターミナル駅であった。その時期に当駅 - 多田間の複線化の予定もあり、その用地は国道293号沿いに確保されている。
 葛生駅構造は単式ホーム1面1線と留置線3線を有する地上駅。ホーム屋根は改札側から2両分しかなく、柱の下部はピンク色である。2両編成の列車は屋根のない箇所に停車する。2006年(平成18年)3月18日に実施されたダイヤ改正からワンマン列車の戸じめ確認のために、カーブミラーのような鏡が設けられている。さらに同年8月から、運転士に出発信号機が開通したことを知らせるメロディ(静かな湖畔)が流れるようになった。発車メロディの役割も果たしているが、発車した後も信号の現示が赤に変わるまで流れるので、正確には発車メロディではない。留置線のうち1線は非電化である。夜間、当駅に到着した特急「りょうもう」と、上り終電発車後に当駅に到着した普通列車は駅構内で夜間滞泊する。事業用車両は非電化の留置線に留置される場合がある。駅舎は線路の西側にあり、ホームとはスロープで連絡しているため段差はない。自動改札機は設置されていないが、2007年(平成19年)3月18日のPASMO使用開始に伴い、ICカード簡易改札機が設置されている。自動券売機は1基設置されている。改札口は駅舎内のほかに駅舎脇にもう一か所あり、朝の通学ラッシュ時に使用される。それ以外の時間帯には「出口⇒」の看板が掲出される。
東武会沢線へ 日鉄鉱業羽鶴専用鉄道へ
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