廃線探索 小坂製錬小坂線

更新日時 2012年11月25日

 小坂製錬小坂線は秋田県大館市の大館駅から秋田県鹿角郡小坂町の小坂駅に至る小坂製錬が運営していた貨物鉄道路線である。小坂鉄道とも呼ばれる。1989年(平成元年)に同和鉱業から小坂製錬が分離され、同社の小坂線となり、1994年(平成6年)10月1日には旅客営業が廃止された。小坂鉱山の鉱石輸送や鉱山閉山後は主に濃硫酸輸送に使用されていたが、2007年2月末に荷主の小坂製錬が濃硫酸の製造を停止し石膏の製造に切り替えたため(石膏はトラック輸送される)、小坂線による出荷も2008年3月に終了した。2008年9月18日に東北運輸局に鉄道事業廃止届出を提出し、2009年(平成21年)4月1日に全線が廃止された。廃線後も残されている線路については、走行試験線への活用のほか、旧小坂駅を鉄道テーマパークにする方針が小坂町によって示されている。
小坂製錬小坂線(廃線)
大館駅 - 岱野駅 - 東岱野駅 - 小雪沢駅 - 雪沢温泉駅 - 新沢駅 - 深沢駅 - 茂内駅 - 篭谷駅 - 古館駅 - 小坂駅
 @大館駅(おおだてえき)は、秋田県大館市御成町一丁目にある、かつては小坂製錬の小坂線、同和鉱業花岡線も乗り入れていた。小坂製錬小坂線の大館駅は、前身の同和鉱業小坂線の駅として1908年(明治41年)に開業、1916年(大正5年)には花岡線の旅客営業を開始した。1985年(昭和60年)に花岡線が廃止、1994年10月には小坂線も旅客営業を廃止し、貨物駅に変更される。その後2009年(平成21年)に貨物駅も廃止し営業を終了した。廃止された当時の小坂線大館駅は下川沿駅方へ伸びる引き上げ線に繋がるJR貨物との貨車授受線2本と、留置線1本があり、構内南側に事務所のような建物の駅舎が置かれていた。駅舎前に通票受器があり、貨物列車運行時は機関士が茂内方からの通票を通票受器に投げ入れていた。また、旅客営業をしていた当時の構内は多数の側線を有し、その北側(JR大館駅側)に旅客ホーム(単式ホーム)1面1線や駅舎が置かれていた。JR大館駅の駅舎とはまったく別の棟だったので、乗り換えにはいったん改札の外へ出る必要があった。旅客ホームと駅舎は1998年前半までにすべて撤去され、跡地には片側2車線の市道が整備されて大館駅から東大館駅まで最短距離でつながる道路の一部として利用されている。
@小坂製錬小坂線の大館駅 - 岱野駅間の廃線跡。
A小坂製錬小坂線の大館駅 - 岱野駅間の廃線跡。
B小坂製錬小坂線の大館駅 - 岱野駅間の廃線跡。
C小坂製錬小坂線の大館駅 - 岱野駅間の廃線跡。
D小坂製錬小坂線の大館駅 - 岱野駅間の廃線跡。
E小坂製錬小坂線の大館駅 - 岱野駅間の廃線跡。
F小坂製錬小坂線の大館駅 - 岱野駅間の廃線跡。
G小坂製錬小坂線の大館駅 - 岱野駅間の廃線跡。
 H岱野駅(たいのえき)は、かつて秋田県大館市上代野中岱3-1にあった小坂製錬小坂線(小坂鉄道)の駅(廃駅)である。1950年(昭和25年)から1957年(昭和32年)までは構外側線を有していた。1987年(昭和62年)11月に交換設備が撤去されている。駅構造は相対式ホーム2面2線の地上駅であった。現在でも駅舎およびホーム跡が残っている。
I小坂製錬小坂線の岱野駅 - 東岱野駅間の廃線跡。
J小坂製錬小坂線の岱野駅 - 東岱野駅間の廃線跡。
K小坂製錬小坂線の岱野駅 - 東岱野駅間の廃線跡。長木川の支流大茂内川を渡るガーター橋。
L小坂製錬小坂線の岱野駅 - 東岱野駅間の廃線跡。
 M東岱野駅(ひがしたいのえき)は、かつて秋田県大館市大茂内字中瘤木台にあった小坂製錬小坂線(小坂鉄道)の駅(廃駅)である。駅は大館製作所の裏手に存在していたが、現在はホームなどが撤去されており、痕跡を見付けることはできない。駅構造は簡易的な単式ホーム1面1線のみの地上駅で無人駅であった。
 M腕木式信号機や踏切の遮断機があり、最初は小坂製錬小坂線の物かと思ったが、大館製作所の敷地内にある。調べてみたら大館製作所は鉄道関連の設備を製作している会社で、山梨リニア実験線のコンクリート側壁も製作していたようだ。小坂製錬小坂線の踏切設備にも使われている。(大館製作所外部リンク
N小坂製錬小坂線の東岱野駅 - 小雪沢駅間の廃線跡。
O小坂製錬小坂線の東岱野駅 - 小雪沢駅間の廃線跡。レールは残るが雑草だらけだ。
P小坂製錬小坂線の東岱野駅 - 小雪沢駅間の廃線跡。長木川に架かるガーター橋。
Q小坂製錬小坂線の東岱野駅 - 小雪沢駅間の廃線跡。長木川に架かるガーター橋。
R小坂製錬小坂線の東岱野駅 - 小雪沢駅間の廃線跡。
S小坂製錬小坂線の東岱野駅 - 小雪沢駅間の廃線跡。
@小坂製錬小坂線の東岱野駅 - 小雪沢駅間の廃線跡。清風荘バス停付近。
B小坂製錬小坂線の小雪沢駅 - 雪沢温泉駅間の廃線跡。四十八滝バス停付近。
C小坂製錬小坂線の小雪沢駅 - 雪沢温泉駅間の廃線跡。小雪沢橋付近。
 D雪沢温泉駅(ゆきさわおんせんえき)は、かつて秋田県大館市雪沢字小雪沢にあった小坂製錬小坂線(小坂鉄道)の駅(廃駅)である。1954年(昭和29年)8月1日雪沢鉱泉駅として開業。駅構造は単式ホーム1面1線のみの地上駅で無人駅であった。現在でもホーム跡が残っている。駅廃止後の2004年(平成16年)11月9日14時ごろ、濃硫酸を積んだ大館行き15両編成の貨物列車が、当駅付近を走行中に11両が脱線する事故が発生している。
E小坂製錬小坂線の沢温泉駅 - 新沢駅間の廃線跡。
F小坂製錬小坂線の沢温泉駅 - 新沢駅間の廃線跡。
 G新沢駅(しんさわえき)は、かつて秋田県大館市新沢にあった小坂製錬小坂線(小坂鉄道)の駅(廃駅)である。
 G新沢駅は、2009年(平成21年)までは駅舎が保線区作業者の休憩所として使われていたが、小坂線の廃止と同時に2010年(平成22年)に撤去された。かつては列車交換可能な島式ホーム1面2線であったが、1974年(昭和49年)10月に交換設備が撤去されている。
H小坂製錬小坂線の新沢駅 - 深沢駅間の廃線跡。樹海ラインを横断する踏切があった。
H小坂製錬小坂線の新沢駅 - 深沢駅間の廃線跡。長木川に架かるガーター橋。
I小坂製錬小坂線の新沢駅 - 深沢駅間の廃線跡。
 J深沢駅(ふかさわえき)は、かつて秋田県大館市雪沢字楢ノ木岱にあった小坂製錬小坂線(小坂鉄道)の駅(廃駅)である。駅構造は単式ホーム1面1線のみの地上駅で、小坂方に向かって右側にホームがあった。
K小坂製錬小坂線の深沢駅 - 茂内駅間の廃線跡。
L小坂製錬小坂線の深沢駅 - 茂内駅間の廃線跡。腕木式信号機が残る。
 M茂内駅(しげないえき)は、かつて秋田県大館市雪沢字茂内屋布5-1にあった小坂製錬小坂線(通称小坂鉄道)の貨物駅(廃駅)である。
 M茂内駅は、貨物駅であったが当駅で取り扱う貨物は存在せず、閉塞区間の境界となる信号場としてのみ機能し、日本国内でも希少な通過中のタブレット授受が行われていた。また当駅と小坂駅との間は急勾配があり、上り列車に連結される補助機関車を解放する駅にもなっていた。そのほか、日本で最後まで腕木式の通過信号機が現役で使われていた。かつては旅客営業も行っており、その名残で島式ホーム1面2線と単式ホーム1面1線が残っていた。
Mタブレット(通票)閉塞機。 Mポイント及び腕木式信号機の切り換え機。
M小坂製錬鉄道小坂線のトラ4001とトキ15014の無蓋車。
N小坂製錬小坂線の茂内駅 - 篭谷駅間の廃線跡。踏み切り跡より撮影。
O小坂製錬小坂線の茂内駅 - 篭谷駅間の廃線跡。長木川に架かるガーター橋。
O小坂製錬小坂線の茂内駅 - 篭谷駅間の廃線跡。腕木式信号機が残る。
P小坂製錬小坂線の茂内駅 - 篭谷駅間の廃線跡。
Q小坂製錬小坂線の茂内駅 - 篭谷駅間の廃線跡。
R小坂製錬小坂線の茂内駅 - 篭谷駅間の廃線跡。
S小坂製錬小坂線の茂内駅 - 篭谷駅間の廃線跡。
 S篭谷駅(かごやえき)とは、秋田県大館市篭谷にあった小坂製錬小坂線の駅。茂内駅と古館駅の間に所在し、苗木沢トンネルを抜けたところの集落の中にあった。駅周辺には秋田県道2号大館十和田湖線(樹海ライン)が通る。
@小坂製錬小坂線の篭谷駅 - 古館駅間の廃線跡。ガーター橋が残る。
@小坂製錬小坂線の篭谷駅 - 古館駅間の廃線跡。16qポストが残る。
A小坂製錬小坂線の篭谷駅 - 古館駅間の廃線跡。ガーター橋が残る。
B小坂製錬小坂線の篭谷駅 - 古館駅間の廃線跡。
C小坂製錬小坂線の篭谷駅 - 古館駅間の廃線跡。S字カーブが良いですね。
D小坂製錬小坂線の篭谷駅 - 古館駅間の廃線跡。
D小坂製錬小坂線の篭谷駅 - 古館駅間の廃線跡。勾配標が残る。
D小坂製錬小坂線の篭谷駅 - 古館駅間の廃線跡。2号トンネルスノーシェルド全長151m。
泥流が流れ込んだようだが、保線されているようだ。走行試験線への活用の為か?
E小坂製錬小坂線の篭谷駅 - 古館駅間の廃線跡。2号トンネルの篭谷駅側。
E小坂製錬小坂線の篭谷駅 - 古館駅間の廃線跡。2号トンネルの篭谷駅側は水没している。
F小坂製錬小坂線の篭谷駅 - 古館駅間の廃線跡。2号トンネルの古館駅側。全長623.62m。
F小坂製錬小坂線の篭谷駅 - 古館駅間の廃線跡。2号トンネル北口休憩所(保線小屋)がある。
G小坂製錬小坂線の篭谷駅 - 古館駅間の廃線跡。
H小坂製錬小坂線の篭谷駅 - 古館駅間の廃線跡。
I小坂製錬小坂線の篭谷駅 - 古館駅間の廃線跡。
J小坂製錬小坂線の篭谷駅 - 古館駅間の廃線跡。20qポストが残る。
K小坂製錬小坂線の篭谷駅 - 古館駅間の廃線跡。1号トンネルの篭谷駅側。スノーシェルド全長15m。
L小坂製錬小坂線の篭谷駅 - 古館駅間の廃線跡。1号トンネルの古館駅側。全長182.88m。
L小坂製錬小坂線の篭谷駅 - 古館駅間の廃線跡。
M小坂製錬小坂線の篭谷駅 - 古館駅間の廃線跡。
N小坂製錬小坂線の篭谷駅 - 古館駅間の廃線跡。
N小坂製錬小坂線の篭谷駅 - 古館駅間の廃線跡。国道282号線踏み切り跡より撮影。
N小坂製錬小坂線の篭谷駅 - 古館駅間の廃線跡。ガーター橋が残る。
N同和鉱業(株)小坂鉄道の銘板。 N同和鉱業(株)の境界杭。
O小坂製錬小坂線の篭谷駅 - 古館駅間の廃線跡。
P小坂製錬小坂線の篭谷駅 - 古館駅間の廃線跡。
Q小坂製錬小坂線の篭谷駅 - 古館駅間の廃線跡。
 R古館駅(ふるだてえき)とは、秋田県鹿角郡小坂町古館にあった小坂製錬小坂線の駅(廃駅)。
1985年(昭和60年)10月1日 - 篭谷駅 - 小坂駅間に開業。 1994年(平成6年)10月1日 - 小坂製錬小坂線の旅客事業撤退により廃駅。
S小坂製錬小坂線の古館駅 - 小坂駅 間の廃線跡。
 @小坂鉱山事務所(こさかこうざんじむしょ)は、秋田県鹿角郡小坂町にある建築物。1905年に小坂鉱山の事務所として建設。ルネサンス様式の外観を残す建物は、1997年まで事務所として使われていたが小坂製錬の工場増築に伴い解体され、建物は小坂町に無償譲渡された。2001年、小坂町の明治百年通り構想により、旧小坂鉱山病院跡地に移転復元され、新たに観光施設として生まれ変わった。移転するに当たっては、完成当時の状態を再現するため、壁面はモルタルから白い漆喰に変更、屋根もトタンからバルコニーは完成当時の杉板ぶきに、それ以外は耐久性から銅板ぶきに変更した。ランプなどの室内の小物に関しても当時の設計図を元に作り直した。2002年には康楽館とともに国の重要文化財に指定されている。
A小坂製錬小坂線の古館駅 - 小坂駅 間の廃線跡。
B小坂製錬小坂線の古館駅 - 小坂駅 間の廃線跡。
 C小坂駅(こさかえき)は、かつて秋田県鹿角郡小坂町小坂鉱山字古川30にあった小坂製錬小坂線(通称小坂鉄道)の貨物駅である。地上駅。小坂鉄道の拠点となっている駅で、駅構内には機関区、コンテナホーム1面1線、濃硫酸貯蔵タンクおよび濃硫酸荷役線がある。濃硫酸は小坂製錬所から貯蔵タンクまでパイプライン輸送され、タンク車に積み込まれた後、海上出荷設備がある秋田製錬飯島製錬所(秋田臨海鉄道秋田北港駅隣接)に輸送される。また、酒田港駅から苛性ソーダが輸送されることがある。1994年まで旅客営業を行っていたため、単式ホーム1面1線と駅舎が残っている。かつては、駅から小坂製錬所までの構外側線があり、鉱石や硫酸などが輸送されていたが、1983年に廃止された。
D小坂製錬小坂線の小坂駅構内。小坂線終点の標識がある。
D富士重工製のモーターカー(保線車両)TMC100BS 昭和40年12月製造。製造番号No.443。
 Dキハ2100形 1962年製の気動車。7両が登場した。このうち3両がワンマン化改造を受けているほか、キハ2104はキハ2108に改番された。小坂線の旅客営業廃止まで使用された。 2両が1981年・1983年に同和鉱業片上鉄道に転属した。写真はキハ2106。
E小坂製錬小坂線の小坂駅構内。
E小坂製錬小坂線の小坂駅構内。突っ込み線はここで終わり。
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